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小さなステージレース
小さなステージレース
ヨーロッパのレースカレンダーはほぼ一定で、3月のミラノ~サンレモが終わると、2週間後にツール・デ・フランドルがある。この間の週末に、かつてフランスにクリテリウム・アンテルナショナルというレースがあった。
僕も何度か取材に行ったことがあって、南仏で行われていたときには車のドアが壊され、つけたばかりのカーステレオが盗難にあった。
2016年まで行われたこのレース、2日間で3ステージあって、2日目の午後は上位者によるタイムトライアルで決着がつけられた。
もしかしたら近年は方式が変わっていたかもしれないけど、僕が取材したときはそうだった。

3年前、僕は東京五輪のコースをイタリア総監督と視察した。そのときいろんなことを話ししたけど、彼はアンダー23のジロを復活させたことに胸を張っていた。というのは1970年から始まったこの大会、モゼールやパンターニなども優勝している由緒あるレースなのだけど、2013年から2016年まで中止だった。度重なるドーピングスキャンダルと、経済不況でスポンサーがつかなかったのだ。
ステージレースでなければ学べないことが多くあるというのだ。
これには同感だ。レースの走り方や疲労回復の仕方もそうだけど、チームを動かしてマッサージやメカニックも必要になってくる。そこにはより多くのものが求められる。

僕は昨年でセミリタイアしたけど、改めて日本のレースの少なさに呆然としている。イタリアで持っていた家の前は、土・日は必ず子供たちのレースが通ったし、アンダー23のレースは土・日・火とあるのは昔から変わっていないからだ。
かたや日本ではレースがないどころか、レースをやりたいと思ったところで、どこの誰に相談していいかという連絡系統すら確立されていない。
ワンデーレースから、クリテリウム・アンテルナショナルみたいな小さなステージレースにしていき、そして最低でも1週間くらいのステージレースを作っていなかないと、とてもじゃないけど世界でまともに走れる選手なんか出てこない。
コロンビアは高地だから強いと思っている人が多いけど、向こうの連盟はかなり組織されていて、ジュニア時代からステージレースが始まっているのだ。
それに一般の人へのアピールだって、ステージレースの方がずっと効果が高い。
こうしたことを日本で上に立つ人は、たとえすぐにできなくても、理想の姿として知っておかなければならないと思うのだ。

写真は1990年のクリテリウム・アンテルナショナルのタイムトライアルのスタートに立つインドゥライン。
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