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2005年12月

ミラノに到着
トラック世界選が終わった。
最終日の夜は、銀輪の風のスタッフや中野浩一さん夫妻、滝沢正光さんらが集まる中、日本食レストランで打ち上げパーティーに参加させてもらった。
滝沢さんは日本一の先行力を売り物に競輪トップの座を維持されていたけど、引退した今は、ギャグで日本一の先行を誇っている。

ところで最近、心に決めたことは、せっかくいろんな国に行っているのだから(自転車レースでこれが35〜40カ国目の取材)、レースの前後に土地のものを見るということ。
じゃないと、自分の頭の中が本当に自転車だけになってしまうような気がして...。
フライトは夕方だったし、一人でワルシャワの旧市内に電車で行って来た。
ドイツ軍に徹底的に破壊されたけど、そのあと昔の姿を忠実に復元したという世界遺産登録の町並みに、人間の力強さを見た思いで、ちょっと感激したなあ。

ホテルから空港までガゼッタの記者がレンタカーに乗せて行ってくれた。
ガゼッタの社員が出張するときには、必ずビジネスクラスがあてがわれる。
僕はスターアライアンスのゴールドメンバーなので、いっしょにビジネスクラスのカウンターでチェックインをしたけど、手荷物であるカメラバッグの重さを量られてしまい、規定の3倍以上ある20kgだった。
20kgじゃ持ち込めない、いやカメラだから預けられない、の押し問答の末、なんとか機内持ち込みに。
ゴールドメンバーでなければ、きっと預けさせられ、そしてべらぼうに高い超過料金をとられたはず。
去年、苦労のマイル修行をして良かったなあと心底思った。

トラブルを乗り越え、僕らは空港のラウンジでくつろいでいた。
そこに突然、UCIの会長が来て、気づかなかった僕のところに挨拶しに来てくれた。
ガゼッタの記者はまだ経験が浅くて顔が売れていないから、彼を飛び越して...。
今回の世界選では、やっぱりマレーシア選手たちの強さがグッドニュースということで、会長と意見が一致した。
なにしろ男子1km3位、男子スプリント2位なのだ。
ポルシェやフェラーリが当たり前の日本の競輪選手3,000人あまりが束になっても、自転車を買うのもやっとの国マレーシアの3人の選手に歯が立たないのだ。

会長が行ってから記者は
「彼はラッキーだよ。アイルランドから一人で出て来て、今や自転車界のナンバーワンだからな」と言う。
僕はそうは思わない。前会長が作ったプロツールに振り回され、しかも後を絶たないドーピングで、大変な苦労があると思う。
たとえ、僕にUCI会長のポストが回って来たとしても、固く辞退するつもりだ。
(最後の一行だけは、神をも恐れぬ空想話です)
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